“純真な子供は嘘をつかない”。人々の盲信が、無実の教諭を犯罪者に仕立て上げてしまう。冷徹な観察眼が光る、人間ドラマの傑作。
女児の嘘が男性教諭を追い込む
※開催中の「マッツ・ミケルセン生誕60周年祭」で上映される「偽りなき者」初公開時に書いたレビューを、加筆した上で掲載します。
幼い恋心からだろう。少女クララが、中年男性ルーカスの口にキスをし、ハート型のプレゼントを手渡す。ルーカスは幼稚園の教諭、クララは園児である。

良識ある大人として、ルーカスはクララの行為をたしなめた。拒絶され、傷ついたクララは、仕返しをする。ルーカスから猥褻行為を受けたと、園長のグレテに告げ口したのだ。でまかせだった。
しかし、根も葉もない噂は、瞬く間に小さな町を駆け巡る。ルーカスは職を失い、友を失い、人間としての尊厳も奪われていく――。